今年で9回目を迎える島秀雄優秀著作賞贈呈式が、2016年10月16日(日)12時30分より、アルカディア市ヶ谷(私学会館/東京都千代田区)にて開催されました。
島秀雄記念優秀著作賞は、鉄道に関わる優れた著作物または著作物に関わる功績を選定し、鉄道および鉄道文化の発展に寄与することを目的として2008年に創設された賞で、9回目となる2016年は、2013年~2015年の3年間に出版された書籍や達成された功績の中から下記の5件が選定されました。
■単行本部門
・高木宏之『国鉄蒸気機関車史』ネコ・パブリッシング(2015)
・中村光司『知られざる連合軍客車の全貌』JTBパブリッシング(2015)
■定期刊行物部門
・野元 浩「狭小トンネル用PS23形パンタグラフ」(『鉄道ピクトリアル』2015年12月号掲載)
■特別部門
・「関西の鉄道」ほかの継続出版に対して(関西鉄道研究会)
・「中国鉄道時刻表」の出版に対して(中国鉄道時刻研究会)
当日は、列席者(受賞者、出版関係者、鉄道友の会関係者の合計37名)の紹介が行われた後、須田寬会長から「書店では鉄道関係の書籍を数多く見るが、堀り下げた内容のものは少ない。そのような中で、深い内容の著作を執筆された著者の方々と、これをサポートされた出版社の方々にお礼を申し上げたい。鉄道は文化事業でもあり、車両や構造物は文化財であるとあると常々思っており、著作物によって鉄道の文化の発展に貢献した受賞者や出版社の方々の功績を讃えるとともに、今後も執筆や出版活動を通じて鉄道文化をさらに発展させていただきたい。」旨の挨拶がありました。
続いて、曽根悟選考委員長から各受賞作品についての選考経過について報告があり、今回の選考から、選考作品の対象を過去1年間から過去3年間に拡大したこと、単行本部門から20作品、定期刊行物部門から15作品の推薦があったことなどの報告がなされました。また、今回の受賞作は従来の定説や手法にとらわれない新たな視点や論点に基づく著作が選定され、今後もユニークな著作物の出版に期待したいと講評されました。
その後、各受賞者に対して表彰状と0系新幹線電車をデザインした表彰盾が須田会長から贈呈され、続いて受賞者を代表して高木宏之氏より「国鉄蒸気機関車の歴史を記述するにあたり、欧米の著作では当たり前となっている性能評価を盛り込みたいとの思いから、国鉄の各種一次資料にあたっていった。全形式の性能評価を網羅するには至らず著者としては心残りがあるが、今後は国鉄以外の満鉄や鮮鉄、メーカー独自設計機など、日本全体の蒸気機関車史を研究対象として広げ、成果を残したい。」とのご挨拶を頂きました。
式典後は、昼食会を兼ねた懇親会が開催され、各受賞者より執筆時のエピソードなどを、また出版社の方々からは日々の出版に関わる苦労話などを披露いただき、和やかな雰囲気の中で14時40分頃に散会しました。
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