関西地区の空の玄関口として,泉州沖の大阪湾に建設された関西国際空港(平成6年9月4日開港)と大阪の商業・文化・交通の要所「難波」とを連絡する特急列車用として開発された車両が,この50000系電車(ラピート)です。
この電車は,その設計コンセプトが“ダンディ&エレガンス”と“レトロフューチャー”,すなわち「力強さ」と「ゆとり・やすらぎ」を持つ車両として計画されています。まず大きな特徴が,空港連絡特急の持つダイナミックスさと力強さを出した先頭形状と,海上空港をイメージしたその濃いブルーの車体塗色で,プラン発表時より,そのユニークなデザインが話題となりました。また航空機をイメージした“精円形”が基調デザインとなり,客室窓や車内空間デザインにも採用されています。またアコモデーションは,本質を感じさせるレトロ調で落ち着いたデザインが採用され,スーパーシート,スタンダードシートとも快適きを誇っています。そして,JR西日本の“はるか”とともに関西国際空港への足として確固たる実績を上げつつあります。
鉄道にあまり興味のない一般の人々にも強烈な印象を与えるこの車両は,鉄道に興味を持つ当会会員にも当然強いインパクトを与え,大きく評価されたようで,他に大差をつけての得票結果となり,ここに1995年プルーリボン賞に選定することとなりました。
都市間高速輸送に取り組む北海道旅客鉄道(JR北海道)が,函館〜札幌間の非電化路線を含む幹線ルートを運転する“北斗”の高速化用車両として開発したのが,このキハ281系ディーゼルカーです。
この車両の特徴は,曲線が多い路線での高速化,また積雪の多い寒冷地での振子式車両の実用化のための技術を確立させたことです。振子方式は,制御式の自然振子方式ですが,耐寒耐雪面での工夫が凝らされています。また車内アコモデーションでも,オープンな車掌コーナー,前面貫通扉の乗客用展望窓など,工夫が凝らされています。この車両の投入の結果,最高時速130km/h,最速列車で札幌〜函館間で2時間台を実現,その表定速度も106.8km/hという,JRグループの在来線特急としてトップの記録を誇っています。
積雪寒冷地というハンデのなかで,この列車の高速安定輸送の実績は,千歳〜函館間の航空路を運休に追込むなど,顕著なものがあります。そして,その後登場した振子式ディーゼルカーにも,このキハ281系の技術が採用されるなど,その実績は高く評価されます。これらに鑑み,ここに1995年ローレル賞に選定されました。