小田急新宿駅とJR東海の沼津駅を相互直通運転する特急“あさぎり”に使用するため小田急電鉄が製造した新しいロマンスカーで,一部の箱根湯本までの特急にも使用されており,RSE(Resort Super Express の略)という愛称でも呼ばれます。
この20000系電車は,相互乗入れする条件から,従来の小田急特急車の特徴である連節台車方式から,非連接のオーソドックスな形態となり,また塗色も淡い落着いたものとなっています。そして,ハイデッカー構造,一部にダプルデッカー構造(2階部はグリーン席)を採用,前面展望も含めた眺望の良さは大きな特徴となっています。また,ダプルデッカーの1階席の一部はグループ用セミコンパートメントとなっていることも特徴となっています。客室内装も新宿側は『都会』,沼津寄りは『海』を,そしてダプルデッカー車の一部は富士山麓にちなんで『山・樹木』をイメージするなど快適な居住性を考慮,また旅客サービス設備面でも充実,このようにファン,そして利用者にあたえた好感度が大きく評価されて,ここに1992年プルーリボン賞授賞となりました。
新東京国際空港の新地下駅『成田空港駅』開業にあわせて,東日本旅客鉄道(JR東日本)が,空港と東京・新宿・池袋・横浜といった首都圏の各ターミナルをダイレクトに結ぶシャトル特急“成田エクスプレス(愛称:N'EX)”として製作したユニークな車両です。
使用目的が国際空港の旅客輸送という特別な条件のため,設計のトータルコンセプトを『価値ある移動空間』と位置づけ,大型荷物の多い旅客への快道なアクセス空間,そして外国のお客様へのサービス機能などを充実提供,また“ハッ”と目を引く外観デザインや北極圏をイメージしたプロックパターンの塗色,また,東京地下駅で分割・併結することから,迅速に解結できる連結器・幌システム,ATC・ATSの走行自動切替など,運転時間短縮のための新しい試みが多く取入れられています。このような車両製造企画の特徴は顕著なものがあり,これはローレル賞の意図に十分に適合するもので,1992年ローレル賞授賞となりました。
福岡・筑豊地区の運動通学輸送の改善に取組む九州旅客鉄道(JR九州)が,非電化路線の篠栗線の快速列車(愛称:赤い快速)用として,811系近郊形電車をベースに製作した次世代ディーゼルカーのプロトタイプ車両です。
この車両の特徴は,ディーゼルエンジンから走行装置への動力伝達機構として,『爪クラッチ方式』を採用していることです。 (この技術は,『(財)鉄道総合技術研究所(JR総研)』と『JR九州』の共同開発により,世界で初めて実用化したものです)この結果,ディーゼルカーで近郊電車並みの高加速性能を実現,動力の伝達効率の改善による省エネルギー性の向上も実現しています。接客設備も811系電車に準じた転換クロスシートの採用で快適性を向上, 2連の大型窓など電車並みとなった端正なデザインなどは,ローレル賞の意図に十分適合するもので,1992年ローレル賞授賞となりました。