ブルーリボン賞:東武鉄道 100系電車 [スペーシア]
東武鉄道100系電車は,東武鉄道が満を持して日光線に投入した日光・鬼怒川行き特急用車両で,これまで使用してきた1720系(DRC)に代わる新形車両です。1720系は30年に亘り活躍し,ジュークポックスをサロンカーに設置するなど,当時としては先端を行くデラックス車でしたが,100系車両の登場によリバトンを渡すことになりました。
100系電車は6両固定編成で,高加速,高減速,軽合金車体,VVVFインパータ制御の採用など,車両性能は現在の最先端技術とすべて取り入れたほか,「速く,快通に」をモットーとして車内の静寂さを計り,1編成に1両だけですが4人用個室(6室)を私鉄電車としては戦後初めて設けるなど,観光客やゴルファーに豪華さを提供しています。また,外観デザインも“流麗さ”と“華麗さ”を備えた近代的なデザインと塗装で,従来の東武鉄道カラーを打ち破ったものがあります。なお,東武鉄道の授賞ははじめてです。
ローレル賞:東日本旅客鉄道 251系電車 [スーパービュー踊り子]
JR東日本が1990年4月28日から東京〜伊豆急下田間に投入し た新形特急用車両で,「スーパービュー踊り子」とよばれています。
従来からの車両の外観の常識を打破した先頭部形状にこの車両の特 徴が大きく打ち出されています。10面が固定編成で,すべてがハイ デッカー構造です。さらに編成中3両が2階建になっており,車体 構造に斬新さを持っています。車内は“乗ったときからもう伊豆” と銘打って,レジャー,リゾート特急の特色を大きく生かした設備に なっています。子供専用スペース,乳児用スペース,ビデオ放映, ラジオ受信用イャホーンジヤックの採用など,観光客対応にきめ細 かい配慮がなされています。先頭車の展望,側面窓のワイドさなど のデザインも,従来にない異端さを持つなど,デザインに特徴を持 ち,リゾート用に徹したコンセプトに高い評価を得ての授賞となリました。
ローレル賞:大阪市交通局 70系電車
1990年に大阪鶴見緑地で開催された。“国際花と緑の博覧会”の観 客輸送に重要な役割を担った,大阪市営地下鉄鶴見緑地線用の車両 です。
この車両の最大の特徴は,我国で初めて営業に供せられ たリニアモーター駆動方式による“ミニ地下鉄”用車両であること で,省資源,経済性を追及し,最も先駆をなす多くの技術を取り入 れていることが今回の授賞の理由です。リニアモーター駆動によっ て駆動部分が小型化されたと同時に,直接引張力を発生するため急 勾配に対しても有効な性能を持っています。また,歯車による伝達 方式でないため,騒音も極めて低くすることができました。またモー ター方式の大改革により,車体全体が小形となり,トンネル断面を 従来の地下鉄より40%縮小でき,結果として建設費用が20%低減と なりました。これらの技術は1978年から日本鉄道技術協会をはじめ, 運輸省,地下鉄協会などで基礎研究がはじめられ,1988年には大 阪南港試験線で70系電車の試運転がスタートし,実用化へのステッ プを長期かつ慎重に進められてきたものです。
この結果,全くの新機軸の地下鉄は1990年の“国際花と緑の博覧会” で事故もなく,スムースに乗客の重要なアクセス輸送を果たし, 現在も沿線住民の足となっています。これらの諸点を高く評価して 今回の授賞となりました。