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1990年 ブルーリボン・ローレル賞選定車両

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ブルーリボン賞:東日本旅客鉄道 651系電車 [スーパーひたち]

ブルーリボン賞1990

有効投票数5464票中,1126票の第1位を得,栄えあるプルーリポン賞を受賞したのは,JR東日本の651系電車(スーパーひたち)です。
新生JR東日本が満を持し,既に老朽期となっている常盤線用特急電車,485系(ひたち用)の置換用として登場させた未来描向形の新形特急電車です。常盤線のサービス向上と,線区イメージの抜本的革新を意図した,我国の鉄道車両の外観デザインに類を見ない新新さが第一の特徴です。(今年は電車特急の第一陣,151系電車誕生から数えて30年目に当たります。)
この車両の特徴は今までの車両の概念を出来るだけ改めることを目標に,「ホスピタリティー」,「シンプル&ダイナミック」をかかげています。この車両の主な利用者を企業人と位置づけ.室内の造りに,落ち着いたインテリアと空間の環境を追及し,エクステリアとしては,近代的で躍動するハイテク路線をイメージしたデザインコンセプトを前面的に打ち出しました。デザインを外部専門家に委嘱したことがこの外観を産み出しています。
正面には一体化された大形のLED表示器を設け,愛称名,文字類パターン,そして尾灯の機能を全て果たしています。室内設備も従来形とは想を異とし,普通車であっても室内の印象は一クラス上の雰囲気を持たせ,シックなカラートーンや間隔を拡げたシートピッチ,大形の収期式テープルや荷物置場を車端に設けるなど,本格的な改良に取り組んだことが良く分かります。
グリーン車は座席は横3列とゆとりを持たせたほか,フタ付ポックスタイプの荷物棚や室内灯,読書灯などを設置し,航空機の機内を思わせる設備としています。またFMラジオが全列車内で聴取可能なほか,グリーン車では液晶テレビにより衛星放送を見ることが出来るなど,外形デザイン(塗色を含めて)をはじめ多くの新しい試みは話題を呼んでいます。1990年の最優秀車両にふさわしい車両と言うべきでしょう。
なお,東日本旅客鉄道の受賞は今回がはじめてです。

ローレル賞:西日本旅客鉄道 221系電車

ローレル賞1990

JR西日本が「明るく,静かで,快適な居住性を持つ新形通勤用近郊形電車」として開発した車両です。JR西日本では近郊形電車として初の新形式車両ですが,10年前に登場した快速用電車117系の更新を狙い,併せて多用途,柔軟性ある運用とを併せ持つ車両として産み出したものです。
前面デザインは貫通扉,前面窓,表示器などを大形曲面ガラスによって一体化させた大胆なもので,側面は従来のものよリー廻り大形化した下降窓を連続させた構造を採用し,外観の印象は極めて新鮮で,そしてスピード感にあふれた優れた姿態となっています。
先に瀬戸大橋用に登場した「スーパーサルーンゆめじ」と同じ土台の上に成り立っていることが分かります。室内は大形窓により眺望が一段と広くなり,気密性の向上や機器の低騒音化による静かな環境が得られました。
通勤用でありながらすべて転換式クロスシートで座り心地も良く,乗客の立場に立ったコンセプトが好評です。最近は軽量化のために軽合金(アルミ)を車体に用いることが多いのですが,この車両はコスト低減のため,普通鋼を用いながら軽量化に成功していることも見逃せません。さらに4両1編成を基本としながらも,柔軟な編成を組むことによって,東海道,山陽本線の新快速用だけでなく,2両を1編成としてローカル線にも運行できる多用途性も注目できます。今後同社の主力車両となるはずです。
外観デザインの巧みさと用途の柔軟きに注目しての受賞です。なお,この車両は目下高速度テスト車として在来線で160km/h運転のための技術資料作りに挑戦中です。

ローレル賞:四国旅客鉄道 TSE2000系気動車

ローレル賞1990

JR四国が将来の自動車との本格的対決に備えて研究の結果,実用化に成功した「制御付自然振子装置」付気動車がTSE2000系車両です。TSEとは「Trans Shikoku Experimental」の略で,あえて「Experimental」が付いているのが注目されます。
受賞の最大の理由は、従来の振子式における乗り心地と大幅に改善するために考えられた制御付自然振子装置の採用ですが,この車両はその外にも多くの特徴を持っています。軽量化のため軽量ステンレスの採用と,一廻り小さい車体の採用,勾配での速度向上(25‰で95km/h),曲線での速度向上,低重心化(ステップ不要)などです。
気動車で振子式の実用化車両は世界最初といってもよく,今後我国でも汎用化が考えられます。振子装置の制御に必要なカープの検知装置は非貫通側の運転台にあり,ここで検知されて指令が出され,カープに入る少し手前から徐々に車体を傾かせ,カープに入った時,急に車体が傾くのを防いています。
また,コスト低減のために,この車両も185系と同じくバス用機器を採用しているのも特徴の一つです。3両1編成だけの登場でしたが,1990年度には多くの増備車が登場の予定です。
なお,振子式車両は我国では381系電車が採用していて,中央西線「しなの」(長野〜塩尻〜名古屋〜大阪),紀勢本線「くろしお」(天王寺〜白浜),伯備線「やくも」(岡山〜出雲市)として活躍しています。

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