ブルーリボン賞:近畿日本鉄道 21000系電車 [アーバンライナー]
有効投票数5484票中1397票(25.6%)を占め,第一位となり,栄えあるプルーリポン賞 受賞となったのは近畿日本鉄道の21000系電車です。この車両の愛称は「アーバンライ ナー」と名付けられています。
近畿日本鉄道はJRを除く大手私鉄の中で,最も多くの特急車両を持ち,特急列車運転 の歴史の古い鉄道です。昭和22年に始まった特急列車運転は昭和63年で40周年を迎え, 先の2階建特急電車30000系(ビスタカー)から10年目にこの新特急用電車が製作されまし た。この車両は伊勢・志摩そして吉野方面の観光用が多い近鉄特急の中で,大阪〜名古屋 間のノンストップ・ビジネス特急用車両として登場しました。そして愛称を改めて創リ, “アーバンライナー”と名付け,JR東海の東海道新幹線に決戦を挑んでいます。
最高速度120km/hのハイスピードで走行するために,走行装置の強化(出力の増強,制動 装置の改良)に加え,車体を空力学に航空機の機体に似せたスマートなものに一新し,正 面窓を大きく曲線でまとめた大胆なデザインと明るい塗色は,従来の我国の鉄道車両に は見られない新鮮さがあります。そして車内装置も最近流行のハイデッカーを見送って, 鉄道車両の基本を見直し,乗客に広くゆったりとした快適な居住性を提供するためのデラ ックスシート車を編成に加えています。この車両は1プラス2という3列配列で,いわば ゴージャスな雰囲気の中で名古屋〜大阪間をエグゼクティブに運ぼうという趣向です。 もちろんレギュラーシート車もデラックスシート車と同様,シートピッチを1050mmと我国で 最も広い空間をとっていることや,室内装飾やカラーコンディショニングにも行き届いた 配慮を施した,ゴージャスカーとして高い評価を受けています。 今後,名阪ノンストップ特急は全てこのアーバンライナーにする計画と聞いています。
ローレル賞:九州旅客鉄道 783系電車
この車両は愛称を“ハイパーサルーン”と名付けられた交流専用特急用電車で,JR7 社のなかで最も早い時期にJR九州独自の企画によって製造に着手された車両です。 受賞理由としては,
1.地方に見合った運行を考え,自由に組める編成を考慮に入れていること
2.一車両で一つの扉とした中央扉方式を採用し,それなりに成功している
3.特急電車として初のステンレス車体を採用した
4.大きく傾斜した前面と単純ながら斬新な印象と持つ外観デザイン
5.高加速,高減速を実現させるための制御装置の採用
6.前面展望に優れた先頭車と多くの新機軸を盛りこんだ客室構造
などです。
編成は最短は3両で(特急「有明」のうち熊本〜博多間を走行する列車を新設),最 長は7両編成(博多〜鹿児島など)で,これらを弾力的に運用しています。そのため1M 方式といって,最近ではごく一般的になっている2両単位の制御方式を改め,電動車が1 両づつ独立して制御が可能な方式を採用しています。また130km/hという狭軌(1067mm, 新幹線や近畿日本鉄道などは標準軌の143mm)では最高のスピードで走行するため,車体 は軽量ステンレスを用い,台車も軽量形,その他の装置も極力小型軽量化をはかっていま す。車体の特徴である中央部1ヶ所の扉は,1車両でグリーン車,普通車と半分ずつ完全 に独立して設けることが出来る上,普通車でも団体旅客をまとめて一室に乗車が可能とな っています。
以上,大変多くの新しい技術や企画を持った特急用車両として高い水準を持つと評価さ れての受賞です。