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1986年 ブルーリボン・ローレル賞選定車両

ブルーリボン賞:伊豆急行 2100系電車 [リゾート21]

ブルーリボン賞1986

有効投票総数5322票中1525票の第1位を占めたのが伊豆急行の2100系電車で,栄えある栄冠を得ました。公募によって付けられた愛称が“リゾート21”という名前です。
“リゾート21”と名付けられたこの2100系電車は,客室装備と外部塗装に,従来の車両には見られない発想を縦横に盛りこんだユニークな車両です。避寒,避暑と,レジャー客の利用が極めて多いこの鉄道が,一層の誘客を狙って作られたもので,伊豆の海に向う側の客室シートに「く」の字の横置きの長い椅子を配し,客室中央に広いスペースの放送室やTV受像機などを設けた車両が組みこまれています。また,先頭車は階段状の座席配置として,大きくて広い前面窓を通して走行時の展望を楽しむことが出来ます。
車体の外部塗装は海側と山側とでは色を変え,しかも,大きな斜めのストライプが人目を強く引くようにデザインされています。青と赤のストライプは従来にない大胆な配色となっています。 あくまで伊豆の海を眺めながらの楽しい旅を演出することを主眼とした,21世紀をめざすこの観光用電車に対して,会員が高い関心と評価を与えたものといえましょう。
現在1編成ですが,今夏には1編成が加わる予定です。なお,伊豆急行株式会社は初めての受賞です。

ローレル賞:日本国有鉄道 100系新幹線電車

ローレル賞1986

東海道・山陽新幹線用の100系電車は今日まで20年余に亘り積み上げられた高速度用車両の技術,運用,乗客対策などの成果に立脚して,一段と充実した車両をめざしてフルモデルチェンジされたものです。
何といっても,大きな特徴は16両編成中,グリーン車と食堂車が2階建車両となったことです。さらに,省エネルギー対策を含めて先頭車両と2階建車両は,初めてモーターなどの電気機器を持たない車両とし,また普通車の客室居往性を一段と向上させ3人掛シートが転換式となり,またゆったりと座れるように配慮されるなど,乗客対策に気を配っています。電車としては初めての個室も特徴の一つです。
近い将来の240km/h走行対応の電気機器塔載などの性能向上も含めてこの100系電車の多くの特徴はローレル賞にふさわしいものとして選考委員会の高い評価を得たのは当然といえましょう。

ローレル賞:南海電気鉄道 10000電車

ローレル賞1986

南海電気鉄道10000系電車は,南海本線(難波〜和歌山市間)の特急サザン号用として登場したものです。
走行性能に関する技術仕様は,先に登場した30000系電車(高野線用特急新こうや号)を基本としていますが,外観については同社としては全く新らしい装いを持ったものです。貫通式扉を設けた前面デザインは大きな曲面ガラスの採用によってひときわ斬新な印象を与えてくれます。車体側面の窓も大きく広くとり,南海カラーというべきグリーンのストライプ塗装もファンに好印象を与えています。室内装備も豪華で特急列車の条件を満たしてくれています。
なお、この車両は従来からの車両と連結して運行されていますが,民鉄としては初の,国鉄のグリーン車的扱いをしていることも特徴の一つといえます。以上、漸新な装いの車体外観デザインと運用方針について高い評価を得ての受賞であります。現在8両のみですが今秋以降増備が予定されています。なお、南海電気鉄道株式会社は初の受賞です。